Overture

あるところに、一人のお姫様がいました。透き通る薔薇色の肌に銀糸の髪、宝玉の如き蒼の瞳。空からの光に縁取られ仄かに煌めく姿は、精巧な硝子細工に例えるのが相応しいでしょう。

そして、『それ』を彩るように大小極彩色に咲き続ける花々は、人の手を介さないことで在るが儘に花園を作り、無極の広がりを見せていきます。ここには花々を踏み荒す野蛮な獣たちも、花蜜を求める目障りな昆虫も、透き通る空を無節操に舞う鳥の姿もありません。

千戴の時を経た花々の苗床だけが、静寂と共に存在するのです。

1st Story