1st Story

Prologue

私が会いたいと願うのは『あなた』ではない。
見た目も声もその身体も全て同じ。でも、何かが違う。
ほぼ毎日顔を合わせていても、会いたい『あなた』にだけはなぜか会えない。
共に暮らす家族に訊ねても、返ってくる答えは「わからない」の一言だけ。
私の頭の中で、考えだけが延々と回る。
『あなた』から話を聞けばわかるはずなのに、私にはそれができない。

「あなたのことを私に教えて下さい」

『あなた』に会ってもう5年も経つと言うのに、この一言を発する勇気だけが、出て来ない。